11/13開催レポート|オンラインセミナー 労働現場における転倒予防/講師:泉 博之・島 圭介
2025年11月13日(木)にオンラインセミナー「労働現場における転倒予防の活動 ― StA²BLEの活用を中心に」を開催しました。事前登録119名、当日参加95名、多くの皆さまにご参加いただき、誠にありがとうございました。
開催概要
- 日時:2025年11月13日(木)15:00–15:45
- 形式:Microsoft Teams(ウェビナー)
- 講師:
・日本製鋼所M&E株式会社 室蘭製作所/泉 博之 先生
・横浜国立大学 大学院 環境情報研究院 教授/UNTRACKED株式会社 CEO/島 圭介 先生
Q&A
- 先般、通勤災害にて転倒災害がありました。被災者は誘導ブロックに躓いたとのことです。視覚障がい者の方は転倒しないように歩き方などあるのでしょうか。
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【泉先生】
被災者は健常人で視覚障害者用の誘導ブロックに躓いて転倒されたということですね。誘導ブロックは段差としては小さいものですが、視覚障害者が足裏の感覚や白杖で確認出来る程度の凹凸があります。視覚障害者は常に白杖や足裏の感覚で歩行路面状況を確認していますので健常人とは歩き方が異なります。健常人は視覚に頼った歩き方をしますので、誘導ブロックを視覚的に段差と認めず足を上げない歩き方で躓く事が十分に考えられます。すなわち、健常人にとってはただの凹凸である誘導ブロックは、視覚障害者にとっては重要な情報源であるため注意の向けかたが異なります。視覚障害者は健常人と比較して慎重に路面を確認しながら歩行していると言えます。
- 会社の工場等において、転倒時の対処能力向上させるのに有効なトレーニングについてご教示ください。(もしあれば即効性があるものと継続的に効果があるもの)
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【泉先生】
滑り・躓きといった外乱発生時のバランスを保つ簡単なトレーニングとしては、「片足立ち」や「つま先あげ」、「踵あげ」などがあげられますが、転倒時の対処能力向上のトレーニングとしては、柔道や合気道の受け身を応用したトレーニングが考えられます。マットの上で床に片手を着いてそのまま肩から前転する練習やしゃがんだ状態から後転するなどの転がる感覚を養うのが良いですが、職場で取り入れるには難しいかもしれません。
【島先生】
私どもは感覚機能を高めるトレーニングについても研究・考案しておりますため、機会がございまいたら改めてご説明いたします。
- 感覚機能を高めることの重要性が分かりました。感覚機能を高めるために具体的にはどういった取り組みが効果的でしょうか?
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【島先生】
まずは感覚機能が衰えていくものであるということを自認することが第一歩になると考えております。そのうえで,自身の運動の感覚と実際に生じている運動がずれていることを意識し、そのずれを補整していくような訓練が重要になります.別の回答とも重なりますが、感覚機能を高めるトレーニングについても研究・考案しておりますため、機会がございまいたら改めてご説明いたします。
- 高齢の労働者が増えて転倒時に骨折する災害が増えています。骨折しにくい転び方はあるのですか?
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【泉先生】
2つめの質問の回答と重なりますが、無防備な状態で転倒すると危険な姿勢(関節などの弱い部分へ体重などによる力がかかる)になり、かつその状態で地面などへの接触が起きてしまうため骨折などが起こりやすい。そのため安全な姿勢で転ぶ練習(とっさに受け身を取ることができる様に)は有効だと思います。転倒時に骨折しないという観点からはプロテクター(保護具)などを装着するのも良いと思います。
【島先生】
別途、怪我をしない転倒の仕方については全日本柔道連盟との共同研究にて、受け身を取り入れた転び方について研究し,転倒予防教室などの活動を行っております。現状の対象は一般の高齢者となっていますが、労災防止という観点でもこのような取り組みが重要かもしれません。
- 5000人へのアンケートで、「立ち眩み」のみ、若年層の方が多い結果となっていましたが、その原因は分析できていますか?
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立ち眩みに関しては、あくまでも推測の域を出ませんが、若年層に見られる立ち眩みの原因を起立性低血圧(長時間の立位による血圧の低下)によるものが多いと考えております。これは生活習慣に関係があると考えており若年層ほど日常生活で立っている時間が短いためであろうと思っております。若い世代ほど地面に直接座ることに抵抗が少ない?(調査当時は電車の床に直接座っている若者も多かった)などの時代的背景も考察にありました。立っているための機能は若い世代の方が低いのかもしれません。
- 転倒する と言う事は、足元が見えていないというふうにも言えるのでは?と考え誰もが簡単にできる転倒予防対策として歩く通路上をまず見てくださいと指導をしています。この理屈は理にかなっているでしょうか
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もちろん歩行する通路上を(障害物や段差が無いか)確認することは必要ではありますが、足元だけを見てしまうと①他の障害(移動してくる人や車)への対応が遅れたり、②視線が足元に向けられて歩行姿勢が悪く(前傾)なり躓いたりバランスを崩しやすくなりますので注意が必要です。この場合、通路上のどの辺を見るのが良いかに関しては、屋外では3m~5m前方を見ると姿勢も良く歩行速度からも数秒先の足元なので対応しやすいかと考えます。そして目線だけで足元をチラ見する(頭部は重いので頭を大きく動かすとバランスを崩しやすい)。歩行速度の遅い屋内や高齢者の場合はもっと近い位置を見るべきでしょう。
今後の予定
次回もオンラインセミナーの配信を予定しております。
開催が決まりましたら、メールにてお知らせいたします。
今後も、現場の安全と健康づくりに役立つ情報を発信してまいります。
引き続きご関心・ご参加をよろしくお願いいたします。

